【スタッフインタビュー】産前産後の身体を学ぶことで、理学療法士として見える世界が変わった

整形外科で理学療法士として勤務した後、maemo atomoに入社し、今年で2年を迎えた西林さん。
自身も妊娠・出産を経験した今、「身体をみる視点が大きく変わった」と話します。
今回は、産前産後の運動指導に携わる中で感じた変化や、自身の出産経験を通して見えてきたこと、そしてこれからこの分野を目指す方へのメッセージを聞きました。
目次
1、「腰痛」をみていた私が、「その人の人生」をみるようになった
2、自身が妊娠・出産を経験して初めて分かったこと
3、産後は「知識がある」だけでは身体を守れない
4、これから取り組みたいのは、「リカバリー」と「リラクゼーション」の両方を届けること
5、最後に、産前産後の運動指導者を目指す方へ
1、「腰痛」をみていた私が、「その人の人生」をみるようになった
整形外科勤務時代は、産後早期の方を担当する機会はありませんでしたが、産後数年が経過した方から90代まで、幅広い年代の患者さまを担当していました。

その中で、「産後から腰痛が続いている」「肩が痛い」という方は少なくありませんでした。
当時は、ほかの患者さまと同じように整形外科的な視点で評価し、筋力や姿勢、関節の動きなどに着目しながら治療を行っていました。
もちろんそれは間違ったアプローチではありません。
しかし今振り返ると、「産後から続いている」という背景にもっと目を向けることができたのではないかと思います。
maemo atomoで働き始めてから、妊娠・出産によって身体がどのように変化するのかを学び、多くの産前産後の女性と関わるようになりました。

すると同じ腰痛でも、
「この人は妊娠中にどんな身体の変化があったのだろう。」
「出産後、どのように身体を回復させてきたのだろう。」
そんな視点が自然と加わるようになりました。
今では、目の前の痛みだけではなく、その先何年も続く身体づくりまで見据えて、一人ひとりに合わせた、より根本的なアプローチを考えられるようになったと感じています。

さらに、自身が妊娠・出産・産後を経験したことで、目の前の症状だけでなく、その背景にある妊娠・出産という大きな身体の変化や生活環境まで含めて考えることの大切さを、より深く実感するようになりました。
2、自身が妊娠・出産を経験して初めて分かったこと
妊娠中は仕事を続けながら、産休に入ってからもレッスンを受けたり、ウォーキングやストレッチを行ったりと、身体を動かす習慣を続けていました。

そのため、腹筋をはじめ、自分自身の筋肉で姿勢や身体をコントロールする感覚は保てていたと思います。
しかし、臨月に入ると状況は変わりました。
お腹が一段階重たくなり、お腹の張りも頻繁になりました。意識しないと姿勢を保つことが難しくなり、腹筋の感覚も少しずつつかみにくくなっていきました。

そんな時期に受けていたスタジオのレッスンは、その日その日で変化する身体の感覚を取り戻させてくれる時間でした。
出産に向けた身体の使い方を、頭だけでなく身体でも繰り返しイメージできたことは、とても大きな意味があったと感じています。

分娩中は、陣痛の間隔が不規則で苦しい時間が長く続きましたが、一度も気持ちを切らすことなく、その時々で必要な身体のポジションを選び、呼吸に意識を向けることができました。

妊娠中から継続して運動を取り入れ、身体を整えてきて本当に良かったと心から感じる経験となり、その重要性を改めて実感しました。

3、産後は「知識がある」だけでは身体を守れない

一方で、産後の身体は想像以上でした。
特に入院中は、会陰の痛みや腫れによって骨盤底筋の感覚がほとんど分からなくなり、自分の身体を思うように使えないことに戸惑いました。
さらに、赤ちゃんのお世話や授乳指導などで毎日があっという間に過ぎ、自分の身体に意識を向けられるのは、できるだけ横になることや、ベッドからの起き上がり方、立ち座りなどの動きを少し工夫する程度でした。短い期間の中でも、それまで当たり前にあった身体の感覚が薄れていくように感じました。
退院後は、抱っこや授乳の繰り返しで身体はどんどん硬くなっていきます。
それでも育児が最優先になるため、自分の身体をケアする時間は、意識して確保しなければなかなか取ることができませんでした。

理学療法士として身体の知識があっても、実際には思うように身体を整える時間を確保することは簡単ではありませんでした。
この経験を通して、産後は身体の回復と育児が同時に始まる特殊な時期であり、知識だけでは足りないことを実感しました。
だからこそ、専門職には、その人が運動できる環境や、安心して身体を委ねられる場所をつくる視点も必要なのだと感じています。

4、これから取り組みたいのは、「リカバリー」と「リラクゼーション」の両方を届けること

現在、特に関心を持っているのは、産後の身体を回復させる「リカバリー」と、それと同じくらい大切だと感じている「リラクゼーション」です。
自身の経験を通して、産後は身体をケアしたい気持ちがあっても、その時間や余裕をつくること自体が難しい時期だと実感しました。だからこそ、お母さんにはできるだけ早い時期から自分の身体と向き合う機会を持ってほしいと思っています。
それは「自分のため」だけではありません。身体が回復することで心にも余裕が生まれ、お子さんと向き合う時間をより豊かに過ごすことにつながると感じているからです。

スタジオでも、妊娠中に出産へ向けて身体を整えていくように、産後の身体がどのような状態になるのかをあらかじめ知り、安心して回復への一歩を踏み出せるようサポートしていきたいと考えています。
また、身体を整えるための運動やトレーニングはもちろん大切ですが、育児中のお母さんは常に気を張り続け、心も身体も緊張した状態になりやすいものです。だからこそ、運動だけではなく、安心して力を抜き、心身ともにリラックスできる時間も、産後の回復には欠かせないと考えています。
お母さんが自分らしく健やかに過ごせることが、お子さんやご家族の笑顔にもつながると思います。
そのために、リカバリーとリラクゼーションの両方を大切にしながら、お母さん自身が自分の身体と心に向き合える時間や場所を届けていきたいと思っています。

5、最後に、産前産後の運動指導者を目指す方へ

産前産後の身体は、理学療法士の視点だけでも、助産師の視点だけでも語りきれない、とても奥深い世界だと感じています。
身体の構造や機能だけではなく、妊娠・出産というライフイベントや、その後に始まる育児、生活背景まで含めて「人」をみる視点が求められます。
私自身、maemo atomoで学び、多くのお母さんと出会い、自ら妊娠・出産を経験したことで、理学療法士としての「みる視点」が大きく変わりました。
症状を改善することだけではなく、その先の人生まで見据えて関われること。
それが、この仕事の一番の魅力だと思っています。
もし産前産後の運動指導に興味があるなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
きっと、専門職としての視野も、自分自身の価値観も、大きく広がるはずです。
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