【講義レポート】愛媛県立医療技術大学助産学専攻科「統合ヘルスケア」にて講義を担当しました

2026年8月6日、愛媛県立医療技術大学助産学専攻科の助産学生さんを対象に、「産褥期のフィジカルアプローチ」というテーマでCEO西山とCOO井上が講義と実技を行いました。
2年連続で私たちの母校からこのような機会をいただけたことを、とてもうれしく思います。
出生数が年々減少し、愛媛県もその影響を受けるなか、助産学生が実際の妊産婦さんと関わり、経験を積む一つひとつの機会が、とても貴重なものになっています。
助産学専攻科の学生さんは、1年間で10例の分娩介助を行います。
そのうちの1例では、一人の妊婦さんを妊娠期から分娩、産後まで継続して受け持ちます。
1年間で講義と実習で知識・技術を学び、現場で悩み、振り返り、また学び直す。その繰り返しのなかで、助産師に必要な知識や技術を身につけていきます。

昨年とは違った、学生さんの反応
昨年は、実習に出る前の学生さんへの講義でした。
できるだけ現場をイメージしてもらえるように、質問を投げかけながら進めました。
それでも、まだ実際の妊産婦さんと関わる前です。そのため学生さんが比べられるのは、座学で得た知識や教科書のなかの事例でした。
もちろん、それも大切な学びです。
でも、「知っている」と「実際に目の前で経験する」の間には、やはり大きな違いがあります。
今年は、全員がすでに2例の分娩介助を終えた後の講義でした。
「実習で見た、あの身体の変化はこういうことだったのか」
「受け持ったお母さんのあの訴えには、こんな背景があったのかもしれない」
そんなふうに、自分が現場で見たこと、感じたこと、悩んだことと照らし合わせながら、講義を受講できたかと思います。
学生さんの表情や質問からも、昨年とはまた違う手応えを感じました。
すでに経験したからこそ、これからの実践をより具体的にイメージできたのではないかと思います。
質問の内容には、継続して受け持っている妊産婦さんへの保健指導について、具体的な質問もいただきました。試行錯誤しながら指導案を作っているのが伺えました。
実際私も助産学生時代、保健指導にとても大変な思いをした記憶があります。
「この内容で本当に伝わるのかな?」
「この方に必要なことは何だろう?」
「指導案を修正して追記して…」
など頭をフル回転させながら、作成して、修正して、追記して、また修正していました。
今となっては、その大変な時間こそが、目の前の妊産婦さんについて真剣に考える時間だったと思います。
一般的に正しいことを一方的に伝えるのではなく、
「この方には、何を、どんな言葉で伝えればよいのか」を考える。
その姿勢は、助産師になってからも、大切な力になります!

「産褥期」だけれど、産後だけは見ません
今回のテーマは「産褥期のフィジカルアプローチ」です。
しかし、産後の身体だけを切り取って話していません。
妊娠期、分娩期、産褥期。言葉ではきれいに時期を分けられますが、身体はそう簡単には区切れません。産後の身体には、妊娠中の変化も、分娩による影響も、すべてつながってきます。
だからこそ、産後に現れている痛みや不調だけを見るのではなく、
「妊娠中、身体には何が起こっていたのか」
「分娩時、どこにどのような負担がかかったのか」
「なぜ今、この症状が出ているのか」
と、少し時間をさかのぼりながら身体を捉える必要があります。
産後の身体をその瞬間だけで捉えるのではなく、妊娠期から続く生理的変化の流れとして理解する。
今回の講義で、特に伝えたかったことの一つです。

育児手技だけでなく、お母さんの身体にも目を向ける
産後は、育児動作、授乳指導など、伝えることも支援することもたくさんあります。
助産師も、お母さんも、手技・ケア中心に目を向けがちです。
しかし、その中でお母さん自身は、痛みや不調を抱えながら頑張っています。
「痛いけれど、産後だから仕方がない」
「みんな大変だから、私も我慢しないと」
そう思い、口に出せずにいる方も少なくありません。
その一番近くにいる助産師が、助産技術だけでなく、身体に関する知識や不調への対処法・予防法を知っていたら。
お母さんの「実はつらい」に、もっと早く気づくことができるかもしれません。
そして、赤ちゃんのお世話とはまた別の角度から、お母さんを支え、救うことができるかもしれません。
学生さんには、助産師だからこそできる身体へのサポートがあることもお伝えしました。

緊張した表情が、実技で少しずつ笑顔に
実技では、産後早期からできること、1か月健診以降に行えるエクササイズ、分娩までに習得しておきたい動き、分娩時に起こる身体のトラブルへの対処法などを扱いました。
単に動きを覚えるだけではなく、「身体のどこが、どのように働いているのか」を理解できるよう、解剖学的な説明も交えながら、一緒に身体を動かしていきました。
講義中は少し緊張した表情だった学生さんたちも、実技が始まると次第に表情が柔らかくなっていきました。
自分の身体を見つめたり、お互いの動きを確認したり。
驚いたり、納得したり、笑顔になったり。
皆さん表情豊かに取り組んでくれました。
普段何気なく行っている日常生活の動きも、声のかけ方やイメージの持ち方を少し工夫することで、骨盤底筋を活性化させる動きにつながります。
特別な運動を教えるだけでなく、妊産婦さんが毎日の生活のなかで無理なく取り入れられる方法として伝えることができれば、日々の助産業務にも活かせます。
「覚える」だけで終わらず、「自分で感じる」「誰かに伝える」ことまでイメージしてもらえるように、実技を進めました。

知識が、自分の身体を通して実践へ変わる
講義で知識を得て、実技で自分の身体を使って確かめる。
二つを組み合わせることで、頭で理解したことが身体の感覚と結びつき、学びがより深く残っていきます。
今回の経験が妊産婦さんを見る視点の一つになり、実習だけでなく、資格取得後の臨床現場でも思い出して実践してもらえたら、これほどうれしいことはありません。
助産師は、周産期にある女性の一番近くで寄り添い、時に命懸けとなる現場に立ち、母子の命を守る素晴らしい仕事です。
そこに身体や運動に関する知識が加わることで、助産師が届けられるケアの幅は、もっと広がっていくはずです。
そしてそれは、妊産婦さんにとって、より安心でき、満足度の高い産前産後を過ごせることにつながっていくのではないかと思います。
助産学生さんが、これからさまざまな経験を重ね、それぞれの場所で素敵な助産師になっていくことを心から応援しています。
貴重な機会をくださった先生方、そして講義と実技に熱心に取り組んでくださった学生の皆さん、本当にありがとうございました。

▲学生さん顔出しNGのため、写真をイラストにしました
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